大人世代の卒業式袴コーデ

三月、ようやく春めいてきました。

きもの界隈では卒業式や入学式を控えて着付け師さんが忙しくなる季節ですね。

金沢のきもの講師・着付け師 ナツメミヤビです。

 

 

 

今日の話題は「大人世代の卒業式袴」です。

あえての「大人世代」です(笑)

袴と言えば若い学生さんのイメージかもしれませんが、教員や看護学校の30代、40代の学生さんの袴も意外におられるのです。

 

 

お若い学生さんの場合は、二尺袖(約76㎝)や振袖で華やかに装うことも多いので、もっと大人世代の方の参考になる女袴の情報があったらいいかも?と思いました。

 

 

大人世代の袴コーディネートのポイント私なりに手持ちで考えましたので、どうぞご参考に✨

袴の帯合わせを考えよう


袴には半幅帯(幅15cm~17cm)か袴下帯というもう少し巾の狭い帯を使います。

袴の上からほんの2㎝程度見えるように着つけます。

半幅帯の素材は、正絹、ウール、木綿、ポリエステルなんでもOKです。

 

 

ただ、このほんの2㎝の横ラインが意外に目立ち、お顔回りにも近いアイテムなのでコーディネートのポイントになります。

下の画像では手持ちの絞りの訪問着に緑~濃緑のグラデーションの袴に合わせてみています。

 

 

左上:博多織(正絹)    着物の柄の色を拾って明るくまとめた色をしりとりコーデ

右上:西陣の組み織(正絹) 袴とトーンを合わせたモノトーンの帯で辛口コーデ

左下:博多織(正絹)    ビビッドなイエローで元気で親しみやすいキュートコーデ

右下:単帯(ポリエステル) ビビッドなブルーで着物の甘さを引き算したクールコーデ

お好きな感じはありましたか?

 

 

幼稚園や保育所の先生ならピンクやイエロー、ブルー等明るく鮮やかな色も子どもたちに受けそうですね。

少し落ち着いた年代だったり、役職の先生、教頭先生や校長先生であれば黒地の素材感ある帯も重厚感が出てよいと思います。

 

学生の方は「立場」を考える必要はあまりないので、お好きなものを。「好きな色」「似合う色」「顔映りの良い色」を、帯に入れてあげるとよいですね!

私はパーソナルカラーがスプリングなので、顔映りと年齢の二つを考え、サーモンピンク(似合わせ)と落ち着きの黒を試してみようと思います。

はい、着ました~。

袴を自装する機会はあまりなく、久しぶりでした。ここで発見。大人の袴の自装はとっても大変(笑)

後ろ手で紐をしっかり力を入れて結ばなくてはいけない動作がとってもつらいw

40肩、50肩の方ははっきり言って、無理です!!!(笑)体硬い方も無理かも(笑)

 

最近、ワンコにあらぬ方向に急に引っ張られたときに肩の筋を痛めてしまった私も、いや~参りましたm(__)m

左右比べてみていかがですか?

 

 

顔映りは左のサーモンピンクがぐっと良い気がします^^(やはりパーソナルカラースプリング☺)

袴はダーク、帯はブライトでトーンの差がかなりあるので、帯に目線が行きアクセントの役割と、レフ板のように顔をトーンアップしてくれています。

 

 

右の黒も悪くないですね!

きもののふんわりとした甘さがジグザグ柄の「直線」でクールに引き算され、黒という「色」がきものの白系と強めのコントラストとなり帯と袴は一体化してすっきりモダンな洋服的なコーディネートに近づきます。

 

帯と袴が暗いトーンでまとまるので帯下が長くみえ、足長効果もあります。

今は袴と言えば、若い学生さんの需要が多いためか、帯が高めの着付けを多く目にしますが、大人世代なら特に高めを意識せずに体に合わせて私は着つけています。上半身はゆったり自然に仕上げ帯下はすらっと見えるとスタイルアップも期待できるので、袴と帯のなじませコーディネートも、悪くないなと思いました。

私は今回はこっちが好きかな^^ 年々可愛い色、明るい色が守備範囲になってきています(笑)

もし園長先生、校長先生など役職のある先生の場合は黒の方をお勧めするかもしれません。

同級生に校長先生になった子(子じゃないか(笑))もいます。もうそんな年代ですわw

後ろ紐のリボン結びアレンジ


前で結ぶ後ろ紐の位置は、真ん中を避けて、左寄り、右寄りとどちらでもOKです。

最近はリボン型ではなくて飾り結びにすることもあります(一番右の画像)。

 左  :衿の延長線上に下前側(右)にリボン結び

 

    右利きの自分は自分で着るときはこちらが何となく結びやすかったです。

    もしここに徽章をつけるときは、徽章を左に、右に袴のリボンだと落ち着く気もします。(↓こういうやつ。)

真ん中:上前側(左)にリボン結び          

 

    「左にポイント」をという着物のセオリーから言うと自然な気はします。

     お一人で撮影するときは上前(左)をカメラ側に向けることが多いのでここにリボンが映り込んだ方が華やかということもあります。

 

    でも大勢の集合写真だと誰かが下前(右)をカメラ側にするわけなので、全員同じでなくてもいいですよね~^^自由です👍

    徽章をつけるときはリボンと重ねて留めてもいいのかもしれないですね。

 

 

右  :飾り結びアレンジ

    最近流行っていて、着付け師さんが可愛くアレンジしてくれることもあります。

    個人的にはキュートすぎる気がして(笑)大人世代の方はふつうにリボン結びで端を長めに垂らした方が目線が上から下へすっと流れ

    何となく上品な気がします!(あくまで私の好みです!)

 

 

CAさんのスカーフの結び方とイメージに似ている気もします☺

コンパクトにふわふわ結ぶのが似合う方、すっきり縦長にクールに結ぶほうが似合う方。私はもしCAだったら後者です(笑)

皆さんの好みはいかがですか?

袴に向く半幅帯の長さと厚み


今回使った帯は下の2本です。

 

上の組み織の帯は厚みもあり、長さは4m以上と長尺です。

下の博多織の帯は小袋帯で両面ありますが、厚みはさほどなく長さは3.6㎝程度と普通。

 

ほとんど袴に隠れてしまう帯ですが、この帯の長さと厚みは着姿に大きく関係します。

左:黒の長く分厚い帯  横姿に幅が出ています。

右:ピンクの薄くふつうの長さの帯 横姿がコンパクトです。

 ふっくら膨らんだお尻の感じが袴の素敵さ、可愛さでもあるのですが、大人世代はだんだんと年々と自分自身の幅そのものがあることも多く(もれなく私も(笑))、袴をはいたときに私どんだけデカいの?!とびっくりされる方もおられます。 

 

最近の女袴はスマートシルエットが流行しているので、帯が出っ張りすぎない着付けを着付け師さんは工夫してくれると思いますよ。

袴下の帯結びのコツ


袴の下の帯は一文字か文庫に結ばれています。

下の画像はナツメミヤビ着付け教室の他装着付けのテキストからの抜粋です。

帯が膨らみすぎると横姿がでっぷりとすごく太って見えるので、帯をつぶし気味にして形付けます。

 

なので、長くて分厚い帯は羽根が大きくなりがちなので、向き不向きでいえば、あまり向いていないと言えます。

小さな文庫結びがちょうどできるくらい、短めで薄めの帯のほうがシルエットのコントロールがしやすいです。

とはいえ、現代の半幅帯は長尺やそれなりに厚みもあるものが多いので、全体の長さとお客様の体形を見比べて、通常の文庫より手先を長く取りタレを少なく残すように結び始めれば羽根に厚みが出にくくなります。その代わり手先は長く残るので、帯下に引き抜いてうまくつぶして片付けるようにすればOK。

臨機応変に、あるもので着付けをするのが着付けの現場です。

 

 

下の画像はごく一般的な袴下の文庫の帯結びですが、このほかにも色々工夫して着付けていらっしゃる着付け師さんもおられると思います^^ 

袴の後ろ姿のポイント


袴の場合、衣紋はあまり抜かずこぶし横1個分程度が定番と言われています。

 

ちなみに宝塚の卒業式では五つ紋の黒紋付に緑の袴。

衣紋は全く抜かずお草履をはいていますがお草履のときの通常(くるぶし真ん中程)の丈よりもかなり短く袴を着つけています。ブーツを履くときと同じくらい短いですね。帯も高すぎず、補整もおそらくほとんどせず、衿の掛け合わせは鋭角でクール。とても中性的な印象の独特の着付けです。

(四国新聞より)
(四国新聞より)
(日刊スポーツより)
(日刊スポーツより)

衣紋の抜き加減は控え目にといってもそれは厳格な決まり事でもありません。

胸に厚みのある方、首が短いのを気にしている方等は着姿の好みもあると思いますので、こぶし縦1個分ほど抜いてもいいと思っていますし、振袖や二尺袖等華やかで豪華な着物と合わせる時は、バランスを取って抜くこともあります。 

 

ただ、卒業式は厳かな「式典」なので、下品にならず、遊びっぽく見えないというのも大人の知性、わきまえのように思う大人世代の私です。

いつもは自由なファッションを楽しんでいても、ここ一番に「着崩さず」、逆にびしっと正統派に着るのって逆にかっこよくないですか☺

人生の節目に「着正す(きただす)」経験を


いかがでしたでしょうか?

 

 

大人世代の袴姿、いつもジャージの先生がびしっと袴姿で現れたら生徒さんたちも「ああ特別な日なんだな」と改まった気持ちで印象に残ると思います。

そんな春の始まりの風景と門出にあなたの着物姿を添えていただけたらどんなに素敵でしょう。

 

 

今回は訪問着と袴を合わせましたが、上は紋のある色無地なら厳かな場面にぴったりですし、品のよい付け下げや、上品な飛び小紋なども相応しいと思います。

 

 

壇上に上がる校長先生、退任や異動される先生等は控え目すぎず、華やかだったり、春らしかったり、または上質で重厚感のある着物を選ぶのもよいかもしれません。

 

 

職場によっては目上の先生と同じ色を着ないように、事前情報収集するとかしないとか?(笑)という話もお聞きしたことがあります。

オープンな職場なら何色を着ても自由でしょうから、迷われたら先輩方にご相談されるとよいですね。

 

 

ナツメミヤビはお着付けお客様は、お道具の事前チェックの際にコーディネート相談も喜んでお受けしています。

若い袴も大人の袴も、どうぞお気軽にお問い合わせください。

おまけ。同じ訪問着で袴姿と袋帯の二重太鼓で着てみました。

 

 

このきものは二十代のころ、何もわからず初めて自分で購入したきものです。(これと黒留袖を買いました。黒留・・・結婚するかわからないのに(笑))

訪問着は友人や同僚の結婚式、パーティや式典の時に何度も着ました。

 

 

結婚式への列席には、うわ~これ白くない?まずいかな~と思いつつも、近くで見ると銀鼠だし、帯を黒金、緑等メリハリをつけて着ていきました。何しろ最初はこのきもの1枚だけだったので。(後から見た写真では柄のおかげでそんなに白く映っていなかったので、まあセーフだったかな☺)

 

 

今回は春先のパーティへ~というイメージで特に縛りもないシーンで、白銀の帯できものと帯をつなげてドレス的なコーディネートを。

小物の色もワントーンにすればさらにドレッシーですが、私はなじんだ色合わせが似合わないので、ブライトな色でメリハリをつけてみましたよ。

帯揚げは鶸色(ひわいろ)の映える帯揚げの新色を結び目だけにカラフルボーダーを見せて無地場の色を効かせました。

カジュアルデザインの帯揚げですが、柄の見せ方でセミフォーマルなシーンも使っていただけそうです☺

映える帯揚げは natsumemiyabi webshop   Creema で販売中です。カジュアルにセミフォーマルに、夏場も使える通年帯揚げです。

良かったらご覧くださいね!