
今年の春のこと。
地元の高校の進路指導課より「キャリア教育プログラム」の土曜特別講座の講師として
きものの「パーソナルカラー」や「コーディネート」を軸にした講座のご依頼をいただきました。
「着たいと思うもの」「似合うもの」そんな切り口というのがとても新鮮!
高校生というきものに触れる機会がまだ少ない世代、とはいえもうすぐ成人式を迎える年代。
金沢は観光客の街歩きのきものもよく目にする土地柄で伝統工芸も息づく街。
この土地で、この年代に「きもの」に興味を持ってもらうのは本当に意味深いと思います。
しかも内容は飾るきものではなく、着るものとしてのきもの「リアルクローズ」がテーマ。
喜んでお受けしました。
伝統や文化、歴史のお話なら他にお話得意な先生も多いと思ったのですが、なぜ私にお声をかけて
いただけたのかお聞きすると、きものの講座を日頃からしている実績と、「コーディネート」と
「パーソナルカラー」を合わせて盛り込めることだったようでした。
地道ですがずっと続けてきてよかったです。目を留めていただいたことが本当にありがたかったです。
金沢の高校生に受けてほしい着物の授業とは?
ご依頼は当初「きもののパーソナルカラー」(似合うきもののお話)だったのですが
せっかくの講座、受けた後に知識が残り、きものにまつわる伝統工芸も多い土地柄で
将来の職につながってくれたらという思いもあって、二部形式をご提案しました。
①前半:きものの基礎知識
②後半:きものコーディネート
①のきものの知識は退屈になりがちな座学。ですが、コーディネートの話の前に、やっぱり必要。
ほとんどの高校生は浴衣と振袖、地元の加賀友禅や結婚式に着るきものがいわゆる正統派のきものと思っているかもしれない。
Tシャツにジーンズのようなカジュアルなきものがあること、ふだんのきものがあることを知らないかもしれない。
敷居の高いもの、着飾るもの、堅苦しいものだけしかないと思っているかもしれない。
洋服との違いや似ている点も整理して図解すれば高校生の柔らかな頭にはすっと入りそう。
合理的な着物の構造も知ってほしい。それはまさにサスティナブルでSDGs!
知ったらきっとびっくりする!
②のコーディネート実習は「違いを認める」「自分で選ぶ」をテーマに。
みんなと一緒、流行だから…ではなくて、’自分で’「コーディネートする」=’自分で’選び取ることを実践する時間に。
たくさんの色に触れて、人との好みの違いを発見したり、認め合えたり、自由に発想したり・・・そんな時間に。
脱いで着ての着付けの授業ではないので女子も男子も一緒に手を動かしてワークしながら受講できるように。
指導課の先生とお話するにつれ、伝えたいことが見えてきました!


「みんな違ってみんないい」「自分で選ぶ」きものコーディネートワーク
高校生くらいのころは、タレントの誰それが着ている服だったり、友達とお揃いだったりで選びがちかもしれません。
まずは自分の好きな色、苦手な色をチェックテスト(嗜好色チェックと言います)、友達との選ぶ色の違いを発見してもらいました。
高校生だから明るくて若々しい色が好きとは限りません。
地味な色が好きな女子、カラフルな色が好きな男子、ほわんと優しい色が好きな女子、かなりバラバラでしたね!
見えている色、気になる色が一人一人違えば、自然と選ぶ色や組み合わせは人それぞれになります。
色が与える印象や組合わせ(配色)で印象がどう変わるかを感じてもらい、きもののイラストにカラーシールを貼るワークも盛り込みました。


紙の上でのワークの後は、現物でコーディネートしてみよう!の時間。
夏がもうすぐの時期だったので、浴衣と半幅帯でワークしてもらいました。
浴衣を持っている生徒さんには持ってきてもらい、お隣と帯を交換したり教材の帯を使ってもらったり。
帯締めを用意し、なじませたり、メリハリをつけてアクセントにしたり、これもテーマに沿って
コーディネートを思い思いに作ってもらいました。
どのコーディネートも、(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪いい感じ!
テーブルを回って、コーディネートから私の受け取った印象を伝えたり、帯を別のものに変えてみたりと
色んな組み合わせを体感してもらいました。






伝えたいことと伝わったこと
初めての高校生向けの講座、当初は10名から多くても20名かなとのんびり準備していましたが
蓋を開けてみれば50名の大きな講座になりました。
来てくれたらいいなと思っていた男子生徒さんも参加があり、デザインやものづくりに興味があると
たくさん質問をしてくれました!
予定していた進行だと間に合わない!と急遽、教材を新たに追加したり、教室の生徒さんに
モデルとアシスタントをお願いしたり(Nさんありがとう~)と準備はちょっと大変でしたが
久しぶりにワクワク、本当に楽しい経験をさせてもらいました。
マスク着用で皆さんの表情が見えず、反応どうだったかな?と気がかりでしたが、後日、受講の
感想を送っていただいて、皆さんの感想にやっとホッと胸をなでおろしました。
嬉しかったので少しご紹介を。




おまけ 高校生向けの講座に合う装いは?
きちっとびしっと装うと聞く方も緊張感が出てしまうので、カジュアルきものをチョイス。
お太鼓で少しきちんと感も添えました。
色合いはブライトに、5月末の暑さ感じる時期なのでフレッシュな配色を意識して
パーソナルカラーの話もするので、Springの自分に映えるこの色を。
きもの 竹楊柳(くるり)
名古屋帯 いまのいろskala
四分紐 あふ京都
帯留め なつめの花(カエルデザイン)
帯揚げ 映える帯揚げ(ナツメミヤビ)
オリジナルのアイテムやお守りのようなこものを身に着けて大勢の前でも気負わないで頑張れるよう力をもらいました!
無事、講座を終えることができて「装いは力」を実感しました。
きものを身近に感じられる講座をこれからも
今回は高校生向けでしたが、内容的にはどなたにも受けていただける講座です。
私も35を過ぎて着付けを習うまで、きもののことを何もしらずにいました。
大人世代の方も2時間くらいで簡単なきものの基礎を網羅して、
コーディネートまで体感する流れの講座も良いものだと思います。
興味が深まれば、歴史や産地、和裁の知識など深く広く知っていくと良いですが、
最初の一歩は洋服と同じ『着る物』と思える優しい入り口がよいかもしれません。
もしお役に立てるなら、公民館や婦人会、お母さん学級、高校生といわず小中学校等、
いろんなところでやらせていただけたら嬉しいです!
お声をかけてくださったら、内容や時間などもご相談させていただきますので
どうぞお問い合わせください。
今回の講座の様子は、こちらの高校様のサイトでもご紹介いただいています。
ご依頼ありがとうございました。
来年も、というお声もいただいているので、恒例になれば嬉しいです。
◆星稜高等学校 土曜特別講座(GSP)
☛キャリア教育プログラム 2022年5月28日号掲載